イライラや緊張、不安など神経の高ぶりを抑えてくれます。 抑肝散は医療用としても処方されており、軽い精神症状に有用と言われているものです。


環境要因の一つとして家族環境は社交不安障害の発症に関連している可能性があるとされています。過保護な家庭環境や過度な批判や非難をはじめとする家族内の否定的な対応が、社交不安障害のリスクを増加させるという研究結果があります。また、家族の社交的スキルや社交モデルの欠如も影響を与える可能性があります。ほかにも友人関係や社会的な経験も社交不安障害に影響を与える要因とかんがえられており、過去のいじめや否定的な社会的体験、集団での発言や注目を受ける状況での過去の失敗体験などのネガティブな記憶も社交不安障害のリスクを高めるとされています。加えて社会的なストレスやトラウマとなるような経験は、社交不安障害の発症や症状の重症度と関連している可能性があり、過去のトラウマ、人間関係の問題、学校や職場でのプレッシャーなどが社交不安障害の発症や悪化に寄与すると考えられています。文化的な要因も社交不安障害に影響を与える可能性があり、社交的期待や価値観の違い、社会的な評価や役割のプレッシャー、集団文化の特性などが、社交不安障害のリスクや症状の発現に関与するとされています。これらの環境要因は、社交不安障害の発症や症状の重症度に影響を与える可能性がありますが、一般化することは難しく現在も研究段階の知見ではあります。


また抗不安薬には、筋肉の緊張を和らげる効果もあり、腰痛や頭痛の治療に ..

社交不安障害は遺伝的な要因が関与している可能性を指摘する研究も多く、遺伝子研究により、特定の遺伝子が社交不安障害の発症に関連していることが既に示唆されています。具体的には、セロトニン関連の遺伝子や遺伝子多型が関与している可能性があるようです。遺伝的な要因だけでなく、遺伝子と環境の相互作用も社交不安障害の発症に影響を与える可能性があり、環境要因(例: 経験やストレス)が、遺伝的な傾向を引き出す役割を果たすことが示唆されています。また、単一の遺伝子ではなく、複数の遺伝子が関与してリスクが増大することが考えられています。遺伝学的な要因だけでなく、神経生物学的、環境的、心理的な要素を総合的に考慮することが実際には重要で、多くの研究では、これらの要素を統合したアプローチを取っています。

家族から見ると本人がそこまで困っているとは思えないことが多いです。それは、一緒に暮らしている家族に対しては、緊張せず場合により強い自己主張もできたりするものです。また、この疾患は精神科・心療内科においては一般的な疾患ではありますが本人も気づいていないことが多く、単なる「あがり症」「緊張しい」として考えてしまうことが多いためです。これが原因となり不登校や職場にいけなくなり二次的な抑うつを伴うなどして休職に至ることも多く、不登校や仕事に行けなくなる背景としてこの疾患が隠れていないかという視点をもつことも重要です。
このような症状を疑う場合には是非専門の医療機関に受診いただくことをおすすめします。

不安感に代表される精神症状にくわえて、食欲不振や身体の過度な緊張などの身体 ..

レクサプロの添付文章(薬の説明書)では、QT延長に注意するように記載されています。

《認知行動療法の概要》
また認知行動療法では本人の思考パターンや信念に焦点を当て、自己否定的な考え方や社交的な状況に対する恐怖や不安を見直す作業が行われ、認知の修正を通じて、現実的で肯定的な考え方や自己評価を促すことが目指されます。ほかにも 社交的な状況に対する不安や恐怖を階層化して整理し、それに徐々に慣れるための計画を立て、最初は少しハードルが低い状況から開始し、徐々にハードルを上げながらな進んでいきます。不安や恐怖に基づく避ける行動を挑戦することで、新しい経験や情報を得ることを目指します。これにより、過度な恐怖反応を修正し、新たな行動パターンを獲得することができます。ほかにも社交的スキルのトレーニングやリラクセーション技法の導入を行うこともあります。特に、Cognitive Bias Modification(認知バイアス修正)と呼ばれるアプローチが注目されており、患者の認知的なバイアスを修正することで社交不安の症状を軽減する可能性が示唆されていますが現在も研究段階にあります。
治療法については現在も様々な研究のなかで進展してきていますが日本の保険診療という限られた

トレッチは、呼吸困難時に過度に緊張しやすい呼吸補助筋群の緊張緩和に有用である。 ..

お薬としての適応はありませんが、外傷後ストレス障害(PTSD)にも効果は期待できます。

2020年の新型コロナウイルス(Covid-19)の流行により、私たちの生活は一変しました。とりあけ全般性不安障害(全般不安症)の人は、新型コロナウイルスによって、もっとも影響を受けたこころの病気であったといえそうです。なぜなら、この厄介なウイルスは目に見えないためどこに潜んでいるかもしれず、また無症状の人であっても感染している可能性があるので、全般性不安障害(全般不安症)の方は、外出して人とすれ違うだけで「感染してしまったらどうしよう」という強い不安を抱いて多くの方が家に閉じこもりがちとなりました。もちろん公衆衛生という観点では、外出を控えることは望ましい行動なのはいうまでもありませんが、全般性不安障害(全般不安症)の方が自宅で過ごす時間が長くなると、ワイドショーなどの新型コロナウイルスのニュースばかり見ることになり、「発熱したらどうしよう」「家族にうつしてしまったらどうしよう」「職場にウイルスを持ち込んだらどうしよう」などと考え、不安が高まりやすくなり、他の対象に対する不安も相乗的に高くなってしまい入院が必要なレベルまで重症化してしまう方がたくさんいらっしゃいました。そのような例があったことから(議論はあるかと思いますが)コロナの外出制限下であっても、全般性不安障害の方は、マスクなど感染予防を行った上で朝の屋外での散歩などは積極的にするべきであると指導させていただいております。当院が推奨する、コロナに負けない生活習慣については、のページをご参照ください。

社交不安障害は、対人交流場面における強い緊張や恐怖感を特徴とし、過度に恥ずかしが ..

SNRI
1.イフェクサー(ベンラファキシン): ベンラファキシンはセロトニンとノルエピネフリンの再取り込み阻害作用を持つSNRIです。社交不安障害の治療において有効性が示されており、一部の研究ではSSRIよりも効果的であるとされています。
2.サインバルタ(デュロキセチン): デュロキセチンもセロトニンとノルエピネフリンの再取り込み阻害作用を持つSNRIであり、社交不安障害の治療に使用されることがあります。有効性についての研究結果は限られていますが、一部の研究では効果が示されています。

不安・恐怖の感受には、扁桃体の機能が中心的な役割を担っていると考えられている。また、うつ病においても、扁桃体の活性化が重要な役割の一端を担っており、扁桃体は不安障害とうつ病に共通して関与する脳部位である可能性が示唆される(図2)
扁桃体は、視床や大脳皮質から嫌悪刺激を受け取って、呼吸や脈拍の増加の他、様々な自律神経、内分泌変化を惹起する役割を担っており、このような扁桃体の活性化によって、人は不安・恐怖を感じる(図3)。健常人であっても他人の表情(とくに悲しい表情や恐ろしい表情)を認知したとき扁桃体が活性化するが、不安障害やうつ病では健常人を超える扁桃体の活性化が観察されている一方、このような扁桃体の活性化はSSRIによって抑制されることが示されている


脳内の神経を伝達するセロトニンという物質の濃度を高めることによって、不安な気持ちや緊張状態を緩和させます。 ..

《SSRIやSNRIの種類と効果》
SSRI
1.ジェイゾロフト(セルトラリン): セルトラリンは社交不安障害の治療において一般的に使用されるSSRIです。多くの研究で有効性が示されており、症状の軽減や生活の質の向上に寄与することが報告されています。
2.パキシル(パロキセチン): パキシルも社交不安障害の治療に使用されるSSRIの一つです。セルトラリンと同様に、症状の改善に有効であるとされています。
3.ルボックス(フルオキセチン):社交不安障害の治療における有効性については他のSSRIと比較して研究結果がやや劣る可能性があり一部の研究では有効性が示されていますが、他の研究では有効性についてはより不確かな結果となっています。
4.レクサプロ(エスシタロプラム):レクサプロは社交不安障害の治療において有効性が示されています。多くの研究が行われ、症状の軽減や生活の質の向上に寄与することが報告されています。加えてレクサプロは他の一部のSSRIと比較して、効果が比較的早く現れることが報告されています。一般的に、2〜4週間程度の投与後に症状の改善が見られる場合があります。

レクサプロについて、知りたいんですが、イライラや緊張などにも効果がありますでしょうか? ..

大うつ病性障害患者に対して、無作為化二重盲検下でエスシタロプラム10mg/日またはプラセボを7日間投与し、恐怖及び幸福の表情認知に対する扁桃体のBOLD信号の変化を観察した。BOLD信号の増加は、神経活動の亢進に伴う脳血流量の増加を示しており、扁桃体においては不安・恐怖反応の増大を意味する。本研究の結果、幸福の表情認知におけるBOLD信号変化率はプラセボ群とエスシタロプラム群とで有意な差は認められなかった。一方、恐怖の表情認知におけるエスシタロプラム群とプラセボ群のBOLD信号変化率は有意な差があり、また、恐怖の表情認知では、大うつ病性障害患者(プラセボ群)のBOLD信号変化率は健康成人と有意に異なることが示された(図4)。このことから、うつ病患者で増加する恐怖の表情認知に対する扁桃体の活性化が、エスシタロプラムの投与によって抑制されたと考えられる。

筋肉は緊張させてから力を抜くことで脱力しやすくなるためこれを利用し、特定の筋肉を意図的に強く緊張 ..

社交不安障害には、薬物療法もしくは認知行動療法が症状の改善に有用です。薬物療法としては前述したSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)もしくはSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が効果的であり、補助的に不安症状を抑えるために抗不安薬などを頓服薬として使用することが多いです。薬物療法と精神療法を組み合わせた治療が外来診療の中で行われることが一般的です。

レクサプロ錠10mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)

近年SSRIは不安障害の治療に広く使われているが、その不安症状を改善する作用の機序が解明されてきたのは1996年以降であった。この頃から、SSRIがセロトニン神経伝達を促進することにより不安を和らげること、SSRIの作用部位が扁桃体であることなどが報告されてきた。さらに、動物実験モデルである「恐怖条件付けストレス」を用いた研究の結果から、SSRIは細胞外セロトニン濃度上昇を介して扁桃体グルタミン酸神経の活性化を抑制し、不安症状改善作用をもたらすと考えられている

精神科医が主要な16種類の精神安定剤(抗不安薬)について徹底解説!

人前でのスピーチによって必発する動悸や発汗、紅潮などの症状に伴い2001年のTilloforsらの研究ではPET検査にて右の扁桃体の血流が過剰に増加しており1)、SSRIという種類の抗うつ薬による薬物療法や認知行動療法により症状が改善された場合、同じ場面においても扁桃体の血流の異常増加が改善されたという報告があり2)、社交不安障害の病態の一部として扁桃体の活動更新が関与していることが示唆されています。(実際にはこれに加え、行動の監視に関与している前部帯状回や前頭領域の活動亢進、大脳基底核での活動低下が推定されています。3))
また、社交不安障害の方は、他人の顔を見たときに、顔の評価や情報処理の特定のパターンを示すことがあることも知られています。たとえば、他人の顔の評価に関与する側頭前野や後帯状皮質の活動に異常を示すことがあります。

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主要評価項目である8週時におけるMADRS合計点の変化量について、レクサプロ併合群はプラセボ群に対する優越性とパロキセチン群に対する非劣性が検証された(図5)。また本試験では、レクサプロ併合群はMADRSサブスケールの精神的不安の1つの項目である内的緊張(漠然とした不快感、イライラ感、内的混乱、さらにはパニック、恐怖、苦悶のいずれかに至る心的緊張)、他5項目など6項目に関して、投与8週時にプラセボ群に対し有意に改善した(図6)

SSRI(セルトラリン、レクサプロ)を内服して「幸せホルモン」といわれる ..

そのほか、緊張、いらいら、怒りっぽさなどの精神症状、肩こりや頭痛などの身体症状、頻脈、発汗、振戦といった自律神経過活動の症状を認め、ときに睡眠障害を認めます。

SSRIであるジェイゾロフトやレクサプロなどの処方薬が有名です。 ..

観察期及び後観察期の副作用は、レクサプロ10mg群120例中76例(63.3%)、レクサプロ20mg群119例中90例(75.6%)、レクサプロ併合群239例中166例(69.5%)、パロキセチン群121例中86例(71.1%)、プラセボ群124例中64例(51.6%)に認められた。主な副作用はレクサプロ10mg群では傾眠(15.0%)、悪心(13.3%)、浮動性めまい、腹部不快感(各9.2%)、レクサプロ20mg群では悪心(21.0%)、傾眠(20.2%)、浮動性めまい(10.1%)、レクサプロ併合群は傾眠(17.6%)、悪心(17.2%)、浮動性めまい(9.6%)、パロキセチン群は傾眠(25.6%)、悪心(17.4%)、浮動性めまい(9.9%)、プラセボ群では悪心(11.3%)、傾眠(9.7%)、頭痛(5.6%)であった。重篤な副作用は、レクサプロ10mg群でうつ病・自殺企図1例(0.8%)、パロキセチン群で自殺念慮1例(0.8%)に認められたが、レクサプロ20mg群及びプラセボ群では認められなかった。投与中止に至った副作用は、レクサプロ10mg群で5例(4.2%)に8件(自律神経失調、腹部不快感、心室性期外収縮、心電図QT延長、胸部不快感、頭痛、嘔吐、肝機能異常)、レクサプロ20mg群で5例(4.2%)に11件(腹部不快感、食欲減退、呼吸障害、頭痛、冷汗、動悸、悪心、双極1型障害、浮動性めまい、無力症、入眠時幻覚)、パロキセチン群で3例(2.5%)に9件(頭痛、倦怠感、傾眠が各2件等)、プラセボ群で3例(2.4%)に3件(疼痛、易刺激性、椎間板突出)認められた。

特定の状況、例えばプレゼンテーションやパフォーマンスなどで極度の緊張を感じる。 ..

E. 他の精神障害(例: 自己像障害、自己回避性パーソナリティ障害)の症状によって説明できない。

肩こりや眼精疲労などで首や肩の筋肉が緊張し血流が滞り老廃物が痛みの神経を刺激して発症する緊張 ..

12週時におけるLSAS-J合計点の変化量(LOCF、平均値)は、レクサプロ10mg群-26.9点、20mg群-32.6点、プラセボ群-23.1点であった(図7)。LOCFでの解析ではレクサプロ10mg群とプラセボ群の間に有意な差はみられなかったが、OCでの解析及びMMRM解析では、レクサプロ10mg及び20mg群とプラセボ群との間に有意な差を認めた(図8)。さらにLSAS-J合計点の変化量のOCでの解析では、レクサプロ10mg群で4週時より、20mg群で2週時よりプラセボ群に対する有意な差を認めた(図9)。以上のことから、社会不安障害に対するレクサプロの有効性が示された。

緊張異常)、遅発性ジスキネジア(口が勝手に動く、抗パーキンソン薬無効で、非 ..

社交不安障害の治療の中心は、薬物療法と精神療法(認知行動療法、森田療法)です。薬物療法としては、最近はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:デプロメール、ルボックス、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ)が中心となっております。SSRIは従来の薬物と比較して副作用も少なく、服用開始時の胃腸症状(吐気、胸やけ、下痢など)、眠気が主です。ほとんどの方が違和感なく服用できるため、長期間でも安心して服用できます。また、ベンゾジアゼピン系薬物(ソラナックス、デパス、ワイパックス、レキソタンなど)を主とする抗不安薬も、即効性があるため使用されます。特にクロナゼパム(リボトリール、ランドセンなど)は、以前から有効性が確認されています。ベンゾジアゼピン系薬物は対症療法的であり依存性の問題もありますが、長時間作用型のクロナゼパムは離脱症状(薬剤を急に中断した時に現れる心身の不快な症状)をきたしにくく、依存性も比較的弱いことから長期の服用も可能と考えます。SSRI効果が現れるまでには、早くて2週間、通常は4週間かかります。また効果が現れて症状が軽くなっても、その時点から、さらに6ヶ月から1年以上は再発を予防するためにも服薬を継続することが必要です。その他、高血圧症の治療薬のひとつであるβブロッカー(インデラル、テノーミン、アロチノロールなど)は、不安状態に伴う交感神経系の興奮による自律神経症状(動悸、ふるえなど)を対症療法的に緩和させる薬剤です。速効性があり、習慣性もありませんが、合併する身体疾患(気管支喘息、心不全など)の悪化に注意する必要があります。
認知行動療法は、環境刺激であるストレスとその反応である感情・認知(思考)・身体(自律神経)・行動の変化との相互作用を検討して、精神障害、ストレス反応において生じている悪循環を断つことにより、症状の改善や問題の解決を図ろうとする治療法です。人間の反応の中で、感情(不安、緊張、恐怖など)や身体(動悸、発汗、赤面、ふるえなど)の反応は、症状の中心ではありますが、意識的にコントロールすることが困難です。認知行動療法は、意識的にコントロール可能な認知と行動に働きかけて修正することにより、患者様がおかれている悪循環を断つことによって、感情や身体の反応を含めた症状を相互作用的に改善しようとするものです。社交不安障害の認知行動療法では、不安や恐怖を引き起こす刺激(社会的状況や行為)に段階的に直面(曝露)させていき慣れさせて回避を軽減させる‘段階的曝露療法’が中心に行われます。その準備として、不安・緊張時に過呼吸による症状の悪化を防ぐために呼吸を制御する‘呼吸訓練’や、不安症状を中和するために行なう‘リラクゼーション訓練’を行います。さらに、不安や恐怖のもとにある「人前での自身の振る舞いや身体的な反応が、必ず否定的に評価され、重大な結果を招く」という誤った不適応的な考えを見つけて、現実的・客観的に否定して適切な考えに置き換える‘認知再構成’が組み合わされて行なわれます。
従来より不安障害を中心とする神経症に有効な精神療法として森田療法があります。森田療法は、森田正馬によって創始された治療法であり、森田神経質(内向性、過敏、心配性、理想主義、完全主義など)という性格傾向から発展した神経症(社交不安障害、パニック障害、強迫性障害など)を対象としたものです。この神経質を基盤とする社交不安障害の患者様は、対人場面において理想主義、完璧主義から「より良い自分でありたい」という欲求が強く、その反面「恥をかいてはいけない」という恐怖をいだきやすいのです。また、その内向性から、「緊張してはいないか」と自己の内面や身体的変化に注意が向きやすく、理想主義、完璧主義から、誰でも起こりうる不安・緊張や、赤面、発汗、ふるえなどの身体症状を特別なものととらえることで、さらに注意を向けることとなります。注意すればするほど不安・緊張、身体症状に対して過敏となるため、注意と、不安・緊張の悪循環をきたして不安・緊張症状がますます増大してしまいます。すると、今度は「恥ずかしがってはいけない」と恐怖し、不安・緊張症状を除去して楽になりたいとやりくりしますが、本来、感情、感覚を制御することは不可能であることから、かえって注意を増大させることとなり、より一層の不安・緊張を引き起こして苦しくなります。これらを繰り返して、次第に症状が発展していった結果、症状へのとらわれが強くなり、「恥をかいてはいけない」の背後にある「より良く思われたい」という本来の目的を見失うばかりか社会生活にも支障が現れます。以上で述べたように、社交不安障害にも発展しうる神経質の本態に従って、森田療法では、生活全般において、かえって状態を悪化させる不安・緊張、身体症状のやりくりを止め、目的に応じた行動を実践していきます。つまり「不安や緊張があっても、やりたいこと、やるべきことが出来ればよい」という心構え(目的本位)によって、神経質という性格傾向と神経症症状との悪循環を解消し、神経質の人が持つ本来の「より良く生きたい」という欲求を発揮させていこうとするものです。
認知行動療法や森田療法と薬物療法を上手く組み合わせることが、社交不安障害の治療において重要ですが、認知療法や森田療法では不安や恐怖に直面することがもとめられるため、患者様には高いモチベーションが必要となります。当院では、患者様の回復を第一と考えて、森田療法、認知療法、行動療法の要素を自由に取り入れた精神療法を行なっています(および拙著「とらわれ」「適応障害」から自由になる本(さくら舎)、「いつもの不安」を解消するためのお守りノート(永岡書店)をご参照ください)。